私が、社会保険労務士の試験に合格したのは2004年です。合格から時間が経っていますが、これから社会保険労務士の試験について、そして勉強方法についてどのようにしていけばいいかを紹介していきます。
コンテンツ
社会保険労務士資格とは?
それではまず、社会保険労務士の資格とはどういったものかについて見ていきたいと思います。
社会保険労務士制度は、社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)に基づく制度です。
社会保険労務士になるには、社会保険労務士試験に合格等したものが、全国社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿に登録することによって、各都道府県の社会保険労務士の会員になります。そうすることによって、はじめて社会保険労務士として仕事をすることができるようになります。
社会保険労務士は、国家資格であり、厚生労働省の所管する法律の範囲の仕事に携わります。
そのため、業務範囲は多岐にわたり幅広いものになっています。
社会保険労務士の仕事
それでは、次にその仕事について紹介します。
各所からの具体的な業務について少し見ていきましょう。
個人からの相談
- 年金に伴う相談・給付代行(老齢、障害、遺族年金、離婚分割など)
- 労働に伴う相談・紛争代理
企業からの相談
- 雇用、労働に関する申請、相談
- 労働トラブルに関する相談
- 通勤災害、労働災害の給付申請
- 就業規則、雇用契約書等の作成・改定
- 社会保険料の算定基礎届の作成
- 各種助成金の申請・相談
- 社員教育、社員研修
行政協力
- 厚生労働省管轄下の公的機関での相談業務
- 年金事務所、街角相談センター、労働基準監督署等での相談業務
一部ではありますが、社会保険労務士の仕事を見ていきましたが、詳しく全国社会保険労務士会連合会試験センターの公式ページで確認してください。
資格取得後の進路
これから社会保険労務士の試験を受験する人は、合格後の目標については具体的に決まっている人もいると思いますが、社会保険労務士の試験合格後の道としてそれぞれ見ていきましょう。
独立開業
まず志ある人は、社会保険労務士の試験合格後に独立開業して、自ら企業や個人からの相談にのって、企業や人々の役に立つことで収入を得ていこうという人です。
開業には、多くの手続きやポイントがあるので、スクールで独立開業講座を受講する人も多いです。
または、今までの仕事の経験を活かしてすぐに開業していく人もいますが、手続きについてよく調べておくほうが良いでしょう。
社会保険労務士の仕事は、事務手続きだけではありませんので、独立開業する人は新規顧客開拓をするための営業力が必要になってきます。
会社内資格者
社会保険労務士の資格保持者の多くは、今いる会社内で資格を活かして仕事をしていく人です。
又は、資格はあるが、資格を活かせるような部門ではない所で働いている人です。
管理部門、総務部人事部等で活躍していく機会は広がっていきます。
最近は、管理部門にいる人を対象に社会保険労務士の資格を取得するよう勧めている会社も多くあるということです。
講師
せっかく社会保険労務士の資格を取得したのだから、その経験を多くの社会保険労務士を目指す人に教えていきたいという人は、各種スクールの講師になって試験のコツを教えていってください。
多くの資格スクールも各県にありますので、活躍の場は広がっているのではないでしょうか。
社会保険労務士の試験概要
ここで、社会保険労務士の試験概要を見ていきましょう。
受験資格
社会保険労務士の試験の受験資格は、1、学歴 2、実務経験 3、厚生労働大臣の認めた国家資格合格の3つになります。
受験資格には、それぞれの資格証明書が必要になります。
詳しくは、全国社会保険労務士会連合会試験センターの公式ページを確認してください。
合格率
社会保険労務士試験の合格率は、各年によりバラツキはありますが、8~10%ぐらいになります。
受験資格がある試験で、しかも合格率8~10%はかなり難しい試験だということがわかると思います。
4,5万人の人が受験して、2、3千人程度しか合格しません。
心して勉強していきましょう。
難易度
合格率でも見ましたが、8%ほどの人しか合格しないので、難易度は高い試験になっています。
それは、科目として8科目ありますし、科目合格がないので、すべてを満遍なく勉強して6割以上の点数を取らないといけけないところに難易度を高めている要因があると思います。
社会保険労務士の受験勉強
ここからは、社会保険労務士の受験勉強について一つ一つ見ていきましょう。
独学かスクールか
勉強するのに独学かスクールかの選択は、まず考えるところでしょう。
最近の試験は、難化の傾向があるのでスクールでしっかりと教えてもらい、勉強していく方が合格率が高くなるでしょう。金銭的に余裕がある人はスクールに通ってみてはいかがでしょうか。
しかし、スクールは時間的、金銭的に負担があるので、独学で勉強する人もいると思います。
独学は、傾向と対策しっかりと見極めて勉強していくことで合格率が高まります。
試験科目
それでは、試験科目を見ていきましょう。
- 労働基準法及び労働安全衛生法
- 労働者災害補償保険法(労働保険徴収法を含む)
- 雇用保険法(労働保険徴収法を含む)
- 労務管理その他の労働に関する一般常識
- 社会保険に関する一般常識
- 健康保険法
- 国民年金法
- 厚生年金保険法
以上8科目ありますが、それぞれ択一式7科目(一般常識は労働と社会保険両方で1つ)と選択式8科目の試験があります。
以下では具体的に科目ごとの対策を見ていきましょう。
労働保険法
(科目別)
{労働基準法}
通例や判例、各条文からの出題が多いです。条文を理解していくことを心がけ問題を解いていきましょう。
{労働安全衛生法}
労働基準法と同じ問題の中にあるので配点は低いですが、範囲は広いです。過去問から出題頻度の高い項目を重点に勉強していきましょう。
{労働者災害補償保険法}
労働者の病気やケガに関しての給付手続きの問題が多いです。基本問題を繰り返し解いていきましょう。具体的に、病気やケガをしたらどんな給付が貰えるかをイメージしながら覚えていきましょう。
{雇用保険法}
雇用保険給付の基本を理解しながら手続きの流れを覚えていきましょう。全体を良く把握していってください。以前、失業保険を受け取ったことがある人は、具体的にイメージしやすいのではないでしょうか。
{労働保険徴収法}
徴収の仕組みを理解した上で、計算問題にも力を入れていきましょう。労働者災害補償保険法と雇用保険法の問題の中にありますが、それぞれ3、4問ずつあるのでウエイトは低くないです。しっかり勉強しましょう。
社会保険法
(科目別)
{健康保険法}
基本的なことが繰り返し問われてきます。全体を万遍なく理解することが大切になってきます。保険料や療養費などはよく出てきます。取りこぼしのないようしっかり勉強しましょう。
{国民年金保険法}
まずしっかり年金制度を理解して、基本問題を繰り返し解いていきましょう。国民年金法が分からないと厚生年金法もわかりません。皆さん国民年金料を払っていますし、将来年金をもらうので身近な問題としてじっくりと理解していきましょう。
{厚生年金保険法}
国民年金法と似たようなところはありますが、厚生年金独自の給付もあります。試験で狙われるのは独自の給付問題です。また会社勤めの人は厚生年金保険料も払っていますし、将来厚生年金をもらえるので、国民年金法同様しっかりと理解していきましょう。
一般常識
(科目別)
{労務管理に関する一般常識}
厚生労働白書等を確認して、統計資料や労働関係用語をしっかり理解していきましょう。覚える範囲が広く、掴みにくい科目になりますが、最近の出来事などに関連した項目を一つ一つ覚えていきましょう。
{社会保険に関する一般常識}
この科目は、法令と社会保障がありますが、一般常識のような問題もありますので、常日頃から労働社会保険関連の情報を気にしておくと良いでしょう。厚生労働白書も読んでみましょう。
まとめ
それぞれの科目ごとに気を付けることを見てきましたが、全科目で6割以上の合格点を取る必要があるので、満遍なく勉強していきましょう。重箱の隅をつつくような問題も出てきますが(資格試験で落とす試験なので)、ほかの人も解けない問題だと割り切って基本問題をしっかりと回答していきましょう。
合格基準をよく見てください。これは平成30年度のものですが、年度によって合格点数が微妙に変わってきます。択一式は社会保険関係で点数を稼ぐようにしてください。理解すると得点源になるからです。あと雇用保険法も得点源です。そのほかは、自分の得意分野を見つけて、配点をよく見て点数を取れるところを作っていってください。選択式は、各科目3点は必ず取れるよう勉強してください。私もある科目が1点で不合格の経験があります。
マコト
年々難しくなっている社会保険労務士試験ですが、社会保険労務士になる目標を忘れずに日々一歩一歩進んでいけば、将来の道は開かれてくるでしょう。頑張ってください。
コメントを残す