全社員の意識改革!スマートサプライチェーンの次世代化で変わる働き方

スマートサプライチェーンという言葉を、皆さんご存知でしょうか。製造業に関わっている方であれば、サプライチェーンという言葉は聞いたことがあると思います。

では、スマートはどんな意味?

そもそもサプライチェーンって何?

近年政府により発信されている「スマートな社会」に向けた各種取組み。

その中のひとつである『スマートサプライチェーン』について紹介したいと思います。

1.そもそもサプライチェーンとは?

そもそもサプライチェーンとは?

そもそもサプライチェーンとはいったい何なのか。全く知らない人も多いはず。

事実、筆者本人も以前は全く知らない単語でした。その時に納得いくまで調べた結果をお伝えしていきます。

ここがポイント

サプライチェーンとは:

日本ではよく製造業の現場で使われる言葉で「供給連鎖」と訳されます。

原材料の調達から、生産、物流、販売、そして消費者に届くまでの一連の流れを「鎖」にたとえて表した言葉で、その流れの各分野を細かく分析して需要と供給がより最適な状態になるように管理する方法をサプライチェーンマネジメント(SCM)と表記してよく使用されます。

サプライチェーンマネジメントの専門協会であるアメリカのCSCMP(Council Supply Chain Management Professionals)の定義では、企業内および企業間で需要と供給を横のつながりで管理することとしているため、製造業に限定はされていないようです。

2.スマートサプライチェーンとは

スマートサプライチェーンとは

では”スマート”サプライチェーンとは何なのか。

最近よく、「スマートな社会」という言葉を聞きませんか?

日本政府は5年ごとに科学技術基本計画というものを5年ごとに定めていて、現在は2016年から始まっている第5期となります。

科学技術基本計画というのは、日本の科学技術の方針について定めたものですが、今期の方針にはICTの活用、新しい事業に挑戦するベンチャー企業への積極的支援、そして超スマート社会の実現が盛り込まれています。

ここがポイント

超スマート社会とは:

必要なもの、サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細やかに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な制約を乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会

と内閣府の資料では定義されています。

この超スマート社会実現のためのアプローチ方法としてのサプライチェーンのことを『スマートサプライチェーン』としています。

 2-1.スマートサプライチェーンの基本的構造

スマートサプライチェーンは、ある商品が消費者の手に届くまでに通過する、材料生産組織、製造会社、販売会社などの組織をひとつの大きな会社・組織としてみる構造をとっていて、ここで重要なのは商品そのものではなくて、その商品をなぜ消費者は購入するのか、どこで購入するのか、そのためにどこで売ったらよいのか・・・といった『情報』になります。

消費者の需要を満たす理想的な商品を適切な価格、量で供給し、企業に利益をもたらすその情報の流れを、会社という壁を乗り越えて共有しているまとまりをひとつの構造としています。

3.スマートな社会へ society5.0とは

スマートな社会へ society 5.0とは

前述した「超スマート社会」実現に向けたアプローチ方法である「スマートサプライチェーン」とは、政府の取組みの中でどのような位置づけになっているのかをここで整理したいと思います。

そもそも「超スマートな社会」を目指す背景には、少子化や需要の多様化などの社会問題に起因する、生産性の伸び悩みや新たな需要の創出の欠如があり、これにより経済の成長が停滞していることがあります。

この問題を打破するために、第4次産業革命(IoT、ビックデータ、人工知能(AI)、ロボット、シェアリングエコノミーなど)の新たな技術や考え方の変革をあらゆる産業や社会生活に取り入れることにより、様々な社会問題を解決する『Society 5.0』の実現を目指しています。

ここがポイント

Society 5.0とは:

①狩猟社会、②農耕社会、③工業社会、④情報社会に続く5番目の新しい社会のこと。これを政府は『超スマート社会』としている。

 3-1.「スマートに生み出す、スマートに手に入れる」ための解決策

『Society 5.0』の実現のために、日本の強みを活かしながら問題を解決するためのアプローチ方針として政府は以下の4点を挙げています。

  1. 「移動する」
  2. 「生み出す・手に入れる」
  3. 「健康を維持する・生涯活躍する」
  4. 「暮らす」

スマートサプライチェーンは、この中の「生み出す・手に入れる」ことに関する課題を解決するアプローチ方法のひとつとして取り上げられています。

ここがポイント

「スマートに生み出す、スマートに手に入れる」とは:

「一人一人の新のニーズに即した新たな製品やサービスが生み出されること」

「それを安く、欲しいときに、安全に、環境にもやさしく、入手できること」

と政府では定義しています。

企業間の横のつながりをはじめとした様々な関連分野の一体化が、これらの解決のための糸口となっていて、そのために必要とされる情報や新技術の共有化が次世代かしたサプライチェーン、つまり『スマートサプライチェーン』と言えます。

 3-2.スマートサプライチェーンの競争戦略ポイント

スマートサプライチェーンの目指すところは、「いつでも、どこでも、誰でも、欲しいときに必要なだけ手に入る社会」の実現です。

このために必要なのは

  1. 新しい技術の開発
  2. 生産、流通、消費すべてに関わるデータの蓄積
  3. 蓄積データの共有
  4. 情報・技術・流通の海外との共有

になるかと思います。この中で日本の強みとなっているのは、1と2になるのですが、情報、技術を共有するためのシステムづくりの進捗状況は海外に劣っています。

そのため、世界を相手にこの新しい社会実現に向けての戦略ポイントとしては、データの連携システムの強化と言えるのではないでしょうか。

 3-3.スマートサプライチェーンの目標と現在の取組み

スマートサプライチェーンの課題を踏まえ、政府は2020年を目処に「工場や企業の枠を超えて共有・活用する先進システムを、全国50箇所で創出、ドイツとも協力し、国際標準化」を中間目標としています。

その目標に向けた取組みとしては、情報の共有化や海外との連携に伴って問題が生じる可能性のある事柄へのルールや制度作り、各国と連携をすることで、システムや情報について国際標準化を進める取組みを推進していくそうです。

 3-4.海外の動き

海外との共有がポイントとなっていますが、実際に海外ではどのような取組みがされているのでしょうか?

日本が協力を考えているドイツでは『スマートファクトリー4.0』という取組みが進んでいます。ヨーロッパ全体でも成長が停滞気味な中で、ドイツは成長しています。この成長維持と更なる向上を目指して、スマートファクトリー=考える工場をコンセプトに、工業分野を中心にインターネットを通じてあらゆるものやサービスが連携することで、新しい価値やビジネスモデルの創出を目指した取組みが行われています。

4.スマートサプライチェーンに欠かせない、一人一人の能力スマートサプライチェーンに欠かせない、一人一人の能力

スマートサプライチェーンは、超スマート社会実現のための仕組みです。これを最大限機能させて、日本の経済成長を狙うには、情報や技術をどう活用していくのかが重要となります。

政府もベンチャー企業の支援に力を入れ始めた背景には、消費者の需要が多様化することや、大手企業の経営に不安定さが見え始めた今日、若くして独立し、新たな市場を開拓していく人が増え、その波が経済の成長に繋がると考えられることがあるのではないかと思います。

この変動の多い時代に、自分には何ができるのか、何が得意で今の社会にどう活かすことができるのかを、社員一人ひとりが追及し考えていかなければならない時代となったのではないでしょうか。

その個性と技術や情報の組合せ方が企業や個人の今後を左右するといっても過言ではありません。

5.変動するニーズに対応するための意識改革と働き方のこれから

変動するニーズに対応するための働き方

いつでもどこでもだれにでも、必要な時に必要なだけ、ほしいものが手に入るしくみと、それに伴う国民の生涯活き活きと現役活躍できる社会の実現の先には、個性の尊重があるのではないかと思います。様々な思想、立場、性別、地域、人種・・・その多様性を世界中が受け入れ、尊重し、すべての人が快適に暮らせる社会を実現したいという願いが、超スマート社会や同様の世界の動きにはあるのではないでしょうか。

ニーズが多様化していれば、生産するものや生産に関わるプロセスも多様化します。それに伴って、働き方も個性を尊重したものになっていくのではないかと考えられます。

マニュアルどおりに働けばよい、というのではなくなる代わりに、ワークライフバランスを各個人が考えていける社会になるでしょう。

自分が今どうしたいのか。何を大切にしたいのか。真剣に向き合うことのできる社会の実現に向けた取組みだからこそ、超スマート社会に向けた取組みには多くの人に関心を持ってもらいたいと思います。

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