ソサエティ5.0が解放する行政のデータで変わる私達の社会とは?

私達の生活には多くのデータが眠っています。今までそのデータを扱うには大きな障害がありました。

また、行政と企業、行政と個人との間に交わされる情報には何段階もの手続きが必要で、それは最早常識となっていましたが、政府はソサエティ5.0に向けて、その常識を大きく変革させようと取り組みを進めています。

今回はそのような、行政におけるソサエティ5.0の変革について解説をしていこうと思います。

1.ソサエティ5.0によって実現する行政手続きの改革とは

ソサエティ5.0で実現する社会的な変革の中には行政の分野があります。それまで紙ベースで行われていた行政手続きを最新のITやIOT技術を取り入れることで国民の負担を大幅に減らすことが期待されています。

また、政府は行政で所有しているデータをオープンにすることで、さまざまな企業による新しいビジネスの創出、次世代ヘルスケア・システムの構築などを促進することも可能だとしています。

さらに、これらの活用によって空港、上下水道、道路、文教施設、港湾といった私達の生活の基盤とも言えるインフラの分野においても、大きな技術革新を狙うことが出来、民間の企業や、力を活用することを促進することでインフラの充実を図ることができると期待されています。

2.行政データをオープンにする事で新ビジネスの創出を促す

行政の抱えているデータを誰もが利用可能になる社会

ソサエティ5.0はITやIOT技術を利用することにより、それまでに無かった価値を創造し、新しい物や技術と人を繋げ創造される人中心の社会のことです。

そんな中で政府の各省庁の抱えているデータを活用することで新しいビジネスに繋げようという取り組みが行われています。政府の抱えている膨大なデータを、公共にオープン化し、だれでも利用出来る仕組みを創造することでソサエティ5.0の目指す新しい価値による人間中心の社会の実現を目指そうというものです。

この時に言われるオープンデータの定義には1.誰もが利用(加工・編集・再配布等)できること、2.営利・非営利に関わらず二次利用が可能であること、3.機械判読できること、4.無償で利用できることといったものがあります。無償で誰でも利用出来るデータとして公開されているデータということになります。

行政のデータを利用する為には課題も

データをオープン化すると、個人情報の問題や、データの権利、利便性の高い好評の仕方など課題が出てきます。政府では2020年を目安に「官民データ活用推進戦略会議」を司令塔とした議論を重ね、そのシステム構築を行っています。

この官民ラウンドテーブルとは民間企業等データ活用を希望する者と、データを保有する府省庁等が直接対話する場を設ける目的で開催される協議の場です。民間のニーズを取り入れたデータの公開システムと、その活用方法を創出することで、新たなビジネスへの活用を促進するとしています。

ここがポイント
  • 政府の持つデータがオープン化される
  • 誰でも二次利用出来ることで新たなビジネスの切っ掛けになる
  • 今後はその為の課題を解決し有効利用出来るシステムの開発が急がれる

3.ソサエティ5.0では面倒な行政手続きもより便利に

企業の行政手続きは20%解消される

ソサエティ5.0では企業の抱える行政手続きが20%削減される未来を目指しているとしています。現在でも政府の手続きはオンライン化がすすめられてはいますが、本来ある技術を生かし切れてはおらず、法人番号や、AI技術、ビッグデータの活用が出来ていません。

政府のアンケートによる行政手続きにおける負担内容(出典:内閣官房日本経済再生総合事務局)

また、各省庁毎でのデータ管理を行っていることで、省庁間のデータの横断的な利便性に難があり、利用者にとってまだまだ使いにくいシステムの上でデータ管理がされている現状があります。政府は、新技術を今後活用し、これらの利便性を図っていく方針でシステムの構築を進めています。

一度記入・提出すれば手続き終了?

具体的にはどのような方法が検討されているのでしょうか。例えば、法人設立を行う時に、同じ内容の書類を幾つもの提出先に求められることがあります。このような重複する事務手続きを、政府の機関の間で一元化することで、利便を図ろうというのです。

政府によって示されたサービスの理想図(出典:内閣官房日本経済再生総合事務局)

オンライン上で民間クラウドサービス等を利用し入力することで、役所や法務局、税務署など複数の提出先に一度に提出をすることが出来るサービスです。これにより、それまで膨大に費やしていた事務手続きを大幅に削減することが出来るとしています。

このほかにも、同様の技術で裁判の迅速化、貿易手続きの滞留時間の短縮化など多くの場面で効果を期待されています。

ここがポイント
  • 現在は新技術が行政手続きに上手く反映されていない
  • 上手く反映させることが出来れば大幅なコスト削減に繋がる可能性も

4.ソサエティ5.0ではインフラも改善される

人手不足のインフラ業に与える影響

ソサエティ5.0によるITやIOT技術の利用で変わる行政の項目として最も注目すべきはインフラの問題です。我が国のインフラは老朽化が深刻である一方で、人手不足によりその修復が追付いていない現状があります。

そのメンテナンス業に徹底したデータ活用とロボット・センサーなどの新技術の開発・導入により、インフラメンテナンスの生産性向上とコスト効率化をはかろうという取り組みがされています。インフラを取り巻くデータをクラウド化することで、現場・監督業務の軽量化を支援することが期待されています。

ソサエティ5.0による交通の利便確立

また、ソサエティ5.0では自動運転の技術の開発により、そこから発せられるデータを元に交通の利便をより良いものへとすることも期待されています。

自動運転化された自動車から集めたビッグデータを元に交通状況の把握や、利用者の最適なルート案内の提案、好みに合わせた観光ルートの検索などのサービスが検討されている他、CO2削減の省エネの効果も期待されています。

ここがポイント
  • 現在国のインフラ工事は人手不足により老朽化が深刻化している
  • ソサエティ5.0の取り組みで情報を有効活用する事で解消されることが期待される
  • 新技術の利用で交通の利便化も期待されている

5.ソサエティ5.0の実例

最近ではすでに鎌倉市などが行政手続きにおける、ソサエティ5.0へ向けた取り組みを行っています。神奈川県および、鎌倉市はLINEと提携しLINEのシステムを活用した行政の効率化、税金や公共施設における「LINEPay」でのキャッシュレスな支払い、病院カルテとの連携などに取り組んでいます。今後このような活動は徐々に広まっていくとみられ、日本における行政システムの効率化が期待されています。

ここがポイント
  • 既に一部地域ではソサエティ5.0の取り組みが行われている
  • 今後もその拡大が期待される

マコト

これまで私達の生活において、大きな隔たりとなっていた行政手続きや、行政と国民の間の情報のやりとりは、ソサエティ5.0において大きく変革を迎えようとしています。手続きの簡略化や、行政の抱えるデータのオープン化によってビジネスが大きく変動して行くことが期待されています。新しい技術による、社会の変動に大きな希望が持てるのではないでしょうか。

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