Society5.0はさまざまな社会問題にゆれるわが国において、ICTやAIなど革新的な技術を活かし人間中心の新たな社会を指すものとして第5期科学技術基本計画において提唱されたものです。
そんなソサエティ5.0では生活を始め、地域医療や教育、政治といったものから経済におけるまで多岐に渡る効果が期待されています。
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ソサエティ5.0に解決が期待される経済問題
2017年3月に開催されたドイツ情報通信見本市において、安倍総理、世耕経済産業大臣他が、日本の目指す「Society5.0」を実現していくため「Connected Industries」という概念を提唱しました。
これは「企業と企業、機械と機械、人と人などがデータを介して“つながる”世界」の創造による新たな価値の創出に向けた、日本政府による支援政策です。これにより、我が国の抱える多くの社会問題が解決されるとされています。
この「Connected Industries」の中では重点5分野の取組、横断的取組が設けられています。「Society5.0」を実現しより便利で人間中心の社会を目指すとして提唱されたものです。
重点5分野とは様々につながることにより新たな価値創出を図る「Connected Industries」を実現するために必要だと示された分野です。各産業毎にカテゴライズされており、我が国の産業を育てる上で重点的に革新的な取り組みが必要とされている分野です。
横断的政策はそれらを実現するために共通して必要とされる施策のことです。私達の生活に眠るさまざまなデータの共有や、データ管理の基盤の整備、さらなる展開の施策となっています。その中で革新的な技術により重点5分野でどのような経済効果があるのかを紹介していきましょう。
ソサエティ5.0が及ぼすとされる経済効果
経済産業省は重点5分野に指定したそれぞれの施策において、見込まれる経済効果について開示しています。それぞれの分野ごとにみていきましょう。
society5.0が及ぼす経済効果1:自動走行
経済産業省によると自動走行やモビリティサービスの発展により、交通量の緩和、事故の削減、環境負荷の低減、分散エネマネ、物流等移動サービスの拡大がひとつのビジョンとして掲げられています。
これにより市場の経済効果は870億ドル、運転時間が他の生産向上に充てられることで最大で1兆ドルの効果が予測されています。
society5.0が及ぼす経済効果2:ものづくり
ものづくりの分野においては生産全体の最適化、とまらない工場、事故環境への付加の低減をビジョンとしています。これによりわが国のGDPは10兆円から15兆円への押上が出来ると予測されています。
society5.0が及ぼす経済効果3:バイオ・素材
バイオ・素材というビジョンにおいては材料や医療の革新、エネルギー資源対策、社会変革ができる新素材の創出が掲げられています。この市場は2030年に1.6兆円の成長が見込まれています。
society5.0が及ぼす経済効果4:プラント・インフラ
プラント・インフラ保安というビジョンもあります。プラントとは生産設備一式。大型機械などをさし、それによる生産性の向上、自主保安力の向上、稼ぐ力の創出、センサー、ドローンなどの活用もビジョンになっています。
インフラの老朽化の進むわが国は同時にベテラン従業員が引退の時期も迎えていて今後、インフラにおける保守・安全管理において、重大事故のリスクが増大の可能性が示唆されています。そのようなリスクを軽減する効果も期待されています。
society5.0が及ぼす経済効果5:スマートライフ
スマートライフというビジョンは少子高齢化による人手不足という課題に対し掲げられたビジョンで、働き手を創出する効果が期待されています。
内閣府の「家事活動等の評価について」によると、2011年の無償労働貨幣評価額は108兆円~97兆円と試算されており、この規模の効果を創出することが出来るのではないかと予想されています。
- society5.0による効果はそれまで人手がかかっていたことを自動化できることにある
- それにより、生産分野に人手をまわすことで経済効果が生じる
- 今までにない価値を生み出すことで新たな経済価値を生み出すことも期待される
ソサエティ5.0により変わりつつある社会の実例
ソサエティ5.0が変えるマーケティング「Smart Retail Management」
マーケティングの世界で実際にサービスとして提供されている例として株式会社オプティムの「Smart Retail Management」があります。
AI・IoTプラットフォームサービス「OPTiM Cloud IoT OS」を活用し、「集客分析」や「空席検知」、「防犯」といった分野で人間では把握できない情報をAIによって分析しマーケティングに活かすシステムとなっています。
これにより集客の傾向や、来客に適切な席案内をする、人員の配置など店舗経営に活かせるデータを収集し経営を最適化することが出来るようになります。
ICMを利用した地域ビジネスの例
ICMはすでに多くの地域で実用化され始めています。総務省はその中でも特に注目すべき事例を紹介し、各地に広めていく目的でICT地域活性化事例として紹介しています。
たとえば福井県坂井市は日本の川・地方を豊かにする遊漁券オンライン販売システムとしてフィッシュパスというアプリを開発し、釣りをとおし、地域の活性化に役立てています。釣り人口は前年比に比べ148%増の効果が出ています。
また、岐阜県東白川村では村役場職員が最適な建築士や工務店をマッチングできる仕組みを構築することで、村外からも手軽に高品質の住宅建築を受注できる林業・建築業の6次産業化を実現しています。
事業のウェブページは目標であった月900回に対し1124回と注目を集めています。このようなビジネスにより地域活性が進んでいる地域もすでに出始めているのです。
海外におけるAI自動車の実例
アメリカの大手EVの企業であるテスラはすでに自動運転の技術の実用をしています。テスラの技術は車体に6台のカメラに、レーダーと超音波が搭載されています。
8つの視点をもったテスラの自動運転は最長250メートル先の物体を認識することが出来、標識や道路の形状を把握することができるといいます。実際に、自動運転で事故が起きているという難点はあるものの、より安全な実用化に向けて大きく進展しています。
また、ドイツのアウディは2017年10月に、上級モデルA8にレベル3の自動運転システムを導入すると発表しています。このレベルは車の自動運転における指標となっており、レベル3は自動運転システムが運転し、人はシステムの要求に応じて対応するレベルにあるという状態です。
最高基準の完全自動化であるレベル5にはまだ程遠いとされるものの、日本の技術は、政府の言うように完全に遅れをとっている段階といえるでしょう。
しかし、これらの技術が完全自動運転を実現すると、人間が運転をしている時間が生産など多の分野に回せるため、大きな経済的な成長を目指せるとされています。
また、目の前に何かが落ちてきてびっくりして避けたらただの紙だった!というような事例も、ロボットである自動運転ではなくなるともされています。
大手3社が進める建築におけるICTの活用
建築業界でもICTの活用は進んでいます。今年2018年6月26日に大手3社にる建設業界向けに業務効率化とセキュリティ対策に関するセミナーが開催され、以下のような事例が紹介されました。一部紹介します。
- 作業予定表のデジタル化
- カメレオンコードの利用
- 3D画像解析システムの導入
- AIの学習データの理容
これらは、それまで建築業界で問題だった諸問題の解決に役立つとされています。たとえば気温や天候などをリアルデータと市蓄積することで熱中症の管理を行い従業員の体調管理をすることや、業務の滞り、高齢化する職員の問題で技能の習得継承者不足の問題を解消するのに役立つと期待されています。
- すでにソサエティ5.0での実例はあり、すこしずつ効果が出始めている
- AIやICTなどの技術は残念ながら日本はまだ後手に回っている状態
- 今後人手不足の業界を中心に今までになかった技術が活用されると見込まれる
マコト
AIの出現により仕事が奪われるかも知れないとも言われていましたが、実際に詳しくみていくとすこし希望の持てるものでした。
車の運転や、何かの記録など、私たちの生活でそれまで人力に頼らざるを得なかったことが、機械により、正確に、かつ人間の気づかなかったところまで気づくことが出来るようになるみたいです。
そしてそれにより空いた人手は、より人がしなければならない仕事に回せるということです。なんだか明るい未来に思えてこないでしょうか。これからの日本の未来に期待です。
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